花火のまち大曲のDNA【大仙市花火産業構想について】
どうも!大曲の花火が大好きな筆者です。
ここまでずっと「大曲の花火」という花火競技会について私が思う素晴らしさ、その魅力について紹介してきました。
今回はその「大曲の花火」を開催している大曲について、その大曲を中心に秋田県大仙市が取り組む『大仙市花火産業構想』について書いてみたいと思います。とは言え、めちゃくちゃ詳しい訳ではないので、その輪郭の紹介です。
でも今回のテーマは、このブログで一番書きたかったと言っても過言ではないテーマです。ただし、まだ感覚的にしか理解できてなくて、伝えたい事を伝えきれないと思うので、形を変え度々書き直すテーマになろうかと思います。
とにかく壮大でロマンのある構想で、この構想を私なりに発信したいという想いです。
と、ここまで書いてみて、何やら今回は固そうだなと敬遠されるのが嫌なので、ちょいちょい話し言葉を混ぜながら書いてみようと思います。
急なキャラ変やけど ついて来てやー
■花火のまち大曲を好きになった理由
何年か「大曲の花火」に通っているうちに、この大会が日本一の花火大会だから好きなんじゃなくて、「花火の街」の看板を掲げる大曲が1年に1度もっとも力を入れている花火大会だから好きなんだ と思うようになりました。
すみません。回りくどい書き方で
でも、ホントそうなんです。
花火を日本が誇る産業として、秋田県の一角から全国に。さらには海外に。花火の文化的な価値を高め、夢と感動を届けんと花火産業構想を打ち出して、まっしぐらに突き進んでいる大曲(大仙市)自体が好きなんだと気づいたのです。
昔から花火が盛んな地域で 何となく掲げられた看板ではなくて、綿密に組織立って取り組まれていることに気づき、大曲自体が好きになっていったのです。
今回はそんな「花火産業構想を紹介するの巻き」です。
皆さん、まだ付いて来てくれてますかー?
■花火創造企業の工場見学に行ってきました!
ここらで、今年2018年1月27日に『産業構想の施策3のもと設立された ㈱花火創造企業』の工場見学に参加させていただいた日の事を書きますね。
いきなり産業構想を話し始めても 食い付き悪いと思うしねぇ‥
・貴重だった工場見学
「花火創造企業」って不思議な会社名ですよね。ここって何してる会社やろ? 高速の大曲ICを降りてしばらく走ったとき、看板を見かける度に思ってました。ググって見てもホームページが無かったですしね。
今から9カ月も前のことですが、そんな「花火創造企業」の工場見学が出来る貴重な機会に恵まれたので、大雪の日でしたが、愛知県から高速を飛ばして参加してきました。
ほんと貴重だったんですよ! 実は、一般者の工場見学はこのとき初めてだったそうです。設立後間もなく関係者による工場見学はあったそうですが、一般は初めてとの事でした^^
一般者と言っても、参加できたのは「花火鑑賞士会東北支部のメンバー」と「2017年の花火鑑賞士試験の合格者」でした。メールで案内が届いたのです。しかも、私が花火好きになるきっかけとなった『燈籠(ランタン)』という花火を開発した花火師・小松忠信氏の講義も聞けるとの事で、喜び勇んで 参加してきました。
工場見学が出来て、大尊敬している小松忠信社長にもお会い出来て、貴重なお話しも聞けて、わざわざ出かけた価値のある1日となりました。
そして私が大曲(大仙市)自体を好きになっていった理由をこの日はっきり理解することが出来ました。 以下は、そのレポートです。
(なお、”花火鑑賞士”という言葉が出て来ましたが、説明はまた別の機会にしますね。実はまだ、あんまし良く分かってないところがあって‥)
・設立の経緯は実に興味深いものでした!
工場見学の前にA4用紙2枚が配布されました。
- 大仙市花火産業構想(第1期:平成26年~30年度)
- 株式会社 花火創造企業 会社案内
そして、小松忠信社長から各々についてお話しが聞けたのですが、中でも花火創造企業が誕生した経緯が私には楽しくて、非常に興味深かったので紹介しますね。ただし、もう10カ月前のメモを片手に書きますので、あやふやな箇所もあります。ご容赦ください。
花火創造企業は、日本で一番新しい煙火製造工場を有する会社でありながら、自分達では花火を上げないというユニークで、かつて無い新しい形態の会社でした!
どうしてそんなユニークな会社が大曲に誕生したのか。
花火創造企業の設立は2015年(平成27年)4月1日です。そこから遡ること2年前。「大曲の花火」第87回大会が開催される5日前の2013年(平成25年)8月19日の事。大会実行委員長であり大曲商工会議所の会頭である佐々木繁治氏が、大曲地区の花火業者の各社長を集め、とある会合を開いたそうです。
実は、その前年にあたる2012年は 「秋田県勢がほぼ全滅に近い過去にない低成績」であった為、はっぱをかける意味があった様です。
もし2012年の成績が気になった方は こちらから成績表をご参照ください。 ⇒ 2012年(第86回)大会をプレイバック
そして話題は最近の花火業界を取りまく環境について。どういう状況なのか。
地方の経済が衰退傾向にあり人口も減ってきて元気がない事。リーマンショック以降 花火大会の予算が削られていく中、安い海外産花火に頼らざるを得ない状況にあること。その海外産花火はいわゆる安かろう悪かろうであり、品質が悪いこと。それでも安いので我慢して使っている事。
海外に資金が流れている状況が述べられたそうです。けして明るくはない状況だと。
それを聞いた佐々木会頭から出た言葉は、ぐうの音の出ない一言だったそうです。それなら自分達で作ればいいじゃないか という。
しかし、各社長から出た声は、その為には新たな建屋が必要であり、法律上建屋間は定められた距離を取らねばならず、今の工場を増拡張する余地がないので無理だ という意見でした。
それなら、一から新しい工場を作ればいいじゃないか。各社が資金を出しあって。足りない資金は公募で募り、安くて品質のいい花火玉を生産することに特化した工場を。
佐々木会頭のそんな一声で新会社の設立を目指すことがあれよあれよと決まっていったそうです。先ほど触れましたが、この会合は 折しも2012年の競技会で秋田県勢の成績が振るわず集められた会であった為、みんなが「それはいいですね‥!」と言って資金の捻出を断れず同調せざるを得ない雰囲気だったとか。まさに鶴の一声だったそうです。
そんな話しを冗談まじりに、楽しそうに振り返っていた小松忠信社長の講義はめっちゃ有意義で、色々な理解の深まった1日となりました。
せっかくここまで読んでくれた方。もう少し先も読んでねーー!
・いよいよ工場見学
写真は建物内で撮影するのはダメという事だったので、これだけしか撮れてません。1つ目の棟に入るまでにスマホで何枚かパシャパシャしたものです。
もしも内部の様子を期待していた方が居られたら、スミマセンーー。
「火薬の配合」から「星掛け作業」「仕込み(玉詰め)」「玉皮貼り」、「花火玉の乾燥室」など一通り見させて貰えました!
扉は、扉に手をかけただけで静電気を流せるような仕組みの、なんだか工夫されたものでした。 ←なんか凄く感心した筈なのに、よく覚えてないです。。ガクッ。
・花火創造企業の業務内容
メインは「品質の高い国産汎用花火玉の生産」ですが、花火を打上げない会社ならではと言った発想の面白い取り組みも進めている様です。
例えばイベントサポート事業。花火大会のトータルプロデュースサービス。花火打ち上げ自動点火システムの開発・販売。火薬の原料の一つである花火用松炭(まつずみ)の開発。※品位の安定した炭の開発。などなど。
他にも、あると思います。
花火玉の生産については古い情報なので今の状況は変わったかも知れませんが、2018年1月27日の時点ではこんなお話しでした。
- 今は錦冠菊(※1にしきかむろぎく)のみに絞って生産している。その理由は、どの花火大会でも人気があり大量に使われる需要の高い花火玉だから。特化することで、様々なものを作る国内の他社よりもコストを安く出来る。
- 5号玉以下。年10万発が目標。
- ようやく今年1/19に県外に初出荷。(県内の花火大会では何度も打上げ済み)
- 抜き打ち検査(試し打ち)は時おり実施していて、やっと安定してきたと自負している
※1 まず冠菊とは、花火の星の燃焼が尾を引く様に長く続き、地上近くまで垂れ下がる状態になるもので、金色のものを錦冠菊と呼びます。【金色の枝垂れ柳】と言った方が分かり易いでしょうか。 冠菊はスターマインの締めくくりに固め打ちされる事が多く、観客が鉄板で間違いなく盛り上がる花火です。
さて、やっとここからが核心部分です。
・花火創造企業が担う「日本の花火産業」への役割り
先述の試し打ちは、例えば小松煙火工業など大仙市内の煙火業者にお願いし、行われているそうです。あくまでも「花火は作るけど打上げないスタンス」ですね。このスタンスは日本初の試みで、普通はその逆で、花火は作らなくて打上げに特化した会社が日本には幾つかあります。
そのスタンスを取る理由は、花火市場の競合相手にならない様にする為で、あくまでも「日本の花火産業を下支えする」という産業構想に基づく会社だから とか。
素敵だなー。 素敵ですよね。大曲!
そして、こんな想いが根底にあるそうです。
多くの花火大会で大量に使用される『錦冠菊』を安価に生産・供給するので、それを作らなくて済む分を「他の種類の付加価値の高い花火作り」にまわして欲しい。そういう仕組みを国内に確立したい。そして、逆に付加価値の高い花火を同業他社に回したり、海外に販売する そんな産業構造にしたい。
日本の花火の品質は、間違いなく世界一ですからね!!
それなのに海外産花火に頼らざるを得ない現状を打破し、日本の花火文化を発展させ、地域経済を活性化させたい。そんな想いを伺い知ることが出来ました。
自分達の地域のためだけに取り組んでいるのではなく、国内全体の活性化を目指しているという壮大でロマンのある構想だったのです。
それを感じていたから、近ごろ「大曲自体が好き」と思うようになったんだなーーって凄く納得できました。
じゃあ、それが分かったのなら、それは伝えなアカンでしょ。
戦争がある地域では武器として利用される「火薬」。そんな火薬を応用し、代々の花火師達が競い合い、技術を高めてきた「日本の花火」。それを老若男女がワイワイ揃って見上げるイベントがこんなにも沢山ある日本。そんな花火大会がずっと続く日本であって欲しい・・そんなコンセプトの当ブログですから。
ただし、海外輸出が課題だそうです。
メモをちゃんと残してないので曖昧ですが、、コンテナで運ぶには10倍のスペースが法律上いるとか???
それにしても、今回の投稿は長すぎるかな。。。
まあ、それでも続けるでーー
■大仙市花火産業構想(第1期:平成26~30年度)について
ちょっと手抜きしますね。こちらをどうぞ。工場見学の時にいただいた資料です。
【施策1】花火の文化的価値を高め、継承し、広く示す拠点づくり
このため建設されたのが、通称「はなび・アム」という資料館です。今年の夏にオープンしました。JR大曲駅から徒歩数分の近さです。
「はなび・アム」については いつか紹介しますねー
【施策2】花火を支える人材育成・研究開発の場の創出
例えば、高校生に花火の科学について学ぶ機会を設けたり、足利工業大学と産学協同による「花火の色の研究」などなど 進めている様です。
花火の色の研究は、今年の「大曲の花火 冬の章」のスターマインで披露されました。こちらの動画です。どうぞ。
【施策3】日本屈指の花火製造・打上技術を基盤とする新たな花火生産拠点づくり
上の方でたっぷり紹介しました。 ㈱花火創造企業ですね。
【施策4】花火ブランドを活かした観光・商業・農業振興策の強化・拡充
特にいま力を入れているのが【四季の花火構想】で、70万人以上が集まる「夏の全国花火競技会」以外にも大勢の観光客に来てもらえる様、「大曲の花火・春の章」「秋の章」「冬の章」を開催しています。
冬の章 と 秋の章は またの機会に紹介していきますね。
今回の投稿は以上です。
本気で日本の花火文化の継続発展を考えて、まっしぐらに進んでいる「大仙市花火産業構想」のご紹介でしたーーー。
こんな長い投稿に付き合ってくれた方、有難うございました<(_ _)>
何か得られたものはあったでしょうか?時間の無駄でなかった事を願ってます。
そうそう。最後にこちらをリンクしておきますね。小松社長が花火産業構想について語っているロングインタビューです。
https://festival.eplus.jp/articles/4
いずれ別の記事に差し変わってしまうと思います。 なので、今のうちにどうぞ!
ー次回予告ー
大曲に偏りすぎたブログになっていてバランス悪すぎるので、次回から「私が好きな花火大会」を紹介していくシリーズ やってみます。
★次は、小さいながらも想いが詰まった素敵で熱い大阪の花火大会 です
お楽しみにー^^