(7)カタルシス感ずる2分30秒のドラマ!『創造花火の部』について ※過去11大会の成績表つき

どうも!毎年8月の最終土曜日が待ち遠しい筆者です。

皆さん、創造花火ってご存知でしょうか?

昭和39年の大会から全国で初めて正式種目として取り入れられた花火で、大曲の花火を語る時にもっとも象徴的な花火です。花火師にとって最高の名誉である「内閣総理大臣賞」の行方をも占う「大曲の花火」の花形競技です。

「えっ?でも創造花火なんて聞いた事ないよ」という方が多いと思います。残念ながら創造花火という言葉は一般に浸透していない様ですね。先の投稿で紹介した自由玉同様、”大曲の花火用語”という事になってしまいます。これは、大曲ファンとしては残念ですね。

そして、花火好きにとって紛らわしいのは、「大曲の花火」と双璧をなす競技会である「土浦の花火(※1)」では、”創造花火”が別の意味(※2)に使われていて、花火の規模が スターマイン>創造花火 になっていてます。

※1 正式名称は「土浦全国花火競技大会」。毎年10月の第1土曜日に開催され、最も優秀な花火師に内閣総理大臣賞が授与される花火大会。スターマイン日本一を決める花火大会とも称されます。もちろんオススメの花火大会です。

※2 決まった型にとらわれず斬新なアイデアを競う花火で、5号玉7発で争われます。

これは大曲ファンの勝手な願いですが、土浦さん,創造花火の名称を変えてくれませんかね。ややこしいと思いませんか!? 大曲の花火に先駆けて総合優勝者に「内閣総理大臣賞」を授与していた土浦の重鎮の方が、大曲の花火の優勝者にも授与されるよう骨を折られたエピソードが好きでありますが。

 

すみません。普段思っている事をつい書いてしまいました。 だって、「大曲の創造花火は凄いんだよ!」と語ってもピンと来ないのが悲しくて。。

そして今回の投稿は、写真が無くて文章だらけです。

ですが、最後に戦績表を付けましたので 良かったら最後まで見てって下さい。

 

創造花火の部とは

■概要

創造花火の規定は、その時代に合わせて、割りと頻繁に改定(改良)されますので、今から述べるものは昨年第91回大会についてである事を断っておきます。

  • 連射連発方式(いわゆるスターマイン)
  • 創造性に富んだ自社製造玉を主体に表現すること。
  • 筒の本数は150本以内に制限。4号・5号筒を合計80本以下とする。
  • 打上げ時間はアナウンス終了後2分30秒以内とする(音楽も同様)
  • 打上げ幅は30メートル

 

従来の打ち上げ幅は20メートルでしたが、昨年、30メートルへ増幅されました。 この変更点のポイントを解説しますね。

一般論であろうかと思いますが、3号玉の花火が開いた時の大きさは半径30m、4号玉は半径65m、5号玉は半径85mです。30メートルに広げられた事で、花火の重なりが緩和され今までできなかった演出が可能となりました。

そして、昨年はもう1つ大きな変更点がありました。それは『創造花火』で感動を与えた最高芸術作品に贈られる新たな特別賞が新設された事です。創造花火の発案者である佐藤勲氏の名を冠した「佐藤勲賞」です。

ここで、佐藤勲さんについて調べたことをまとめますね。

■創造花火の生みの親『佐藤勲』氏の功績

創造花火は、「大曲の花火」の中興の祖と呼ばれる佐藤勲氏が『花火は円くなくともよい。三角でも四角でも形にはこだわらない』という当時斬新であった「円の破壊」という発想のもと昭和37年に提唱した花火構想で、花火は丸くあるべきとの固定観念による反対にあい、その年の採用は見送られましたが、佐藤氏の尽力により昭和39年の第38回大会より実現した競技です。

佐藤勲氏が昭和37年に大会委員長に就任したころは、秋田県内にも全国花火競技会を名乗る花火大会が開催されるようになり、観光客の分散により観客動員が激減し、「大曲の花火」は厳しい環境にありました。 危機を感じ、頭を悩ませた佐藤勲氏は、歴史と伝統がある「大曲の花火」を守り、発展させるため何か新しい特徴付けの必要性を感じ、発案したのが創造花火でした。

しかし、円の破壊から入ったこの画期的な構想は、「花火は円いもの」という日本の花火の一大特徴を冒涜するものであると先輩たちからの反対にあい、この前衛花火構想は却下されました。保守的な意見が圧倒的であったという事です。

その後、佐藤勲氏の変わらぬ尽力により、昭和38年には「通商産業大臣賞」が授与される大会となり、翌39年にようやく『創造花火』の名称で正式種目として採用される事になったのです。”花火は円いものだけではない”といった考え方は、花火師にとっても革新的であり、創意工夫や新たな花火作りの起爆剤となり、丸い殻を突き破った日本の花火は今や世界に誇れるものへと広がっていったのです。

創造花火を発案し、大曲の花火を日本一の競技大会に育て上げた功績を称え、昨年「佐藤勲 賞」が新設されました。

 

創造花火について

■審査項目

  1. 打ち上げ高度と開き
  2. 音と色彩
  3. リズムと総合美
  4. 意匠と斬新性
  5. 安全性

そして、何より玉名からイメージされるテーマ性を花火で表現・演出できているか、感動や意外性への驚きといった観る者が共感できるドラマがそこにあるか、といった視点も評価の鍵となります。

 


最後に、1つ主張させて下さい。

大曲の提唱する『創造花火』は、単なる「音楽つきスターマイン(速射連発花火)」ではありません。音楽と連動してテンポよく打上がる心地よさが主体のスターマインとは違い、設定されたルールの範囲内で花火師が「花火で演出する世界観」にいかに引き込ませるか、その手腕が問われる創造性の高い花火です。この制約があるところが良いんです。その制約の中、花火師が工夫を凝らし構成したストーリーに全神経を集中させ、宙のキャンパスを見上げる‥‥

カタルシスを得られる2分30秒のドラマ。それが創造花火です。

精神の浄化作用もあると思います!

 

 

↓成績一覧はこちら

成績一覧 創造花火の部 ※過去11大会分 

  過去3会分は玉名付き!

 


ー次回予告ー

次回、花火師の最高の名誉!『内閣総理大臣賞』を紹介する の巻き

おたのしみに

 

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